【解説】第二スイス信仰告白
第二スイス信仰告白
『第二スイス信仰告白』は、スイスの宗教改革者ヨハン・ハインリヒ・ブリンガー(1504–1575)が、1562年に自身の神学を総括する個人的信仰告白、いわば神学的遺言として作成した文書である。ブリンガーはツヴィングリの後継者としてチューリヒで宗教改革を指導した人物であり、この告白文は後に公的に採用され、改革派教会において最も広く用いられる信仰告白となった。
第一スイス信仰告白
これに先立つ『第一スイス信仰告白』(別名『第二バーゼル信仰告白』)は、1536年にブリンガーが他のスイスの改革者たちと共同で作成したものである。宗教改革がスイス各地に広がる中、教義の統一を求める気運が高まり、バーゼル、ベルン、チューリヒなどの改革派系都市が協力して作成された。起草の中心となったのは、ストラスブールで活動していたマルティン・ブツァーや、1523年以降同地で活躍したヴォルフガング・ファブリツィウス・カピトらであり、ジュネーブのジャン・カルヴァンもその成立に関与したとされる。
第二スイス信仰告白の内容の特徴
概要
『第二スイス信仰告白』は全体として聖書中心主義を強く打ち出しており、聖書を唯一の信仰と生活の規範とする立場を明確にしている。教義の多くは穏健かつ包括的に記されており、特定の論争的立場を強調するよりも、改革派諸教会の共通理解をまとめる性格をもつ。
神論・キリスト論・救済論
三位一体の正統信仰を堅持しつつ、義認を神の恵みによる信仰によってのみ与えられるものと理解する点で、ルター派およびカルヴァン派と基本的に一致している。一方、予定論についてはカルヴァンほど体系的・強調的ではなく、牧会的配慮を重視した表現が用いられている。
教会論
真の教会を「神の言葉が正しく宣べ伝えられ、聖礼典が正しく執行されるところ」に成立すると定義し、教皇制や聖職者の特権を否定する。また、礼拝の簡素化、偶像崇拝の拒否、説教の中心的役割など、スイス宗教改革の特徴が色濃く反映されている。
聖礼典
洗礼と聖餐の二つのみを認め、特に聖餐理解においては、キリストの霊的臨在を強調する立場を取り、ルター派の実体的臨在説と距離を置くツヴィングリ的・改革派的理解を明確にしている。
まとめ
このように『第二スイス信仰告白』は、スイス宗教改革の神学を総合的に示すと同時に、国や地域を超えて改革派教会の一致を支える基準文書としての役割を果たした。
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