マルキオン Marcion 生没年不詳、活動時期は150年前後
【要約】
150年前後に活動。一時ローマ教会に属するも、144年、異端的教会を設立。神の本質を愛とし、応報的な神を主張する旧約、並びにその影響の色濃い新約の一部を排除。肉体の蔑視し、キリストの人間性(受肉)の否定というグノーシス主義的仮現説(ドケティズム)が特徴。
【本文】
150年前後に活動。生没年不詳。異端視されたキリスト教指導者。小アジアの黒海沿岸のシノぺ(現トルコ)で船主をした後、137年ごろにローマに移住し、一時ローマ教会に属するも、144年、正統的立場から異端とされる教会を設立。
神の本質を愛とし、応報的な神(デミウルゴス)を主張する旧約、並びにその影響の色濃い新約の一部を排除した。パウロ書簡とルカ福音書のみを改変した上で正典として位置づけた。旧約の神は、キリストをも知らずして断罪したが、キリストは陰府で救済を果たしたという。
また、肉体を蔑視し、キリストの人間性(受肉)を否定するグノーシス的仮現説(ドケティズム)を採った。
マルキオンによる聖書的文書の選別により、正統的キリスト教会側の聖書「正典化」が促されたといえよう。
マルキオンに直接的、間接的に言及している主要な神学者
1. リヨンのエイレナイオス(Irenaeus, 130頃–202年)
『異端反駁』(Adversus Haereses )
2. テルトゥリアヌス(Tertullianus, 155–240年頃)
『マルキオン反駁』(Adversus Marcionem)
3. ヒッポリュトス(Hippolytus, 170頃–235年)
『全異端反駁』(Refutatio omnium haeresium)
4. オリゲネス(Origenes, 185頃–254年頃)
『原理論』(De Principiis)など
5. カエサレアのエウセビオス(Eusebius of Caesarea, 260頃–339年)
『教会史』(Historia Ecclesiastica)
6. アタナシオス(Athanasius, 298–373年)
『復活祭書簡39』 聖書正典化に向けた正典リスト
7. エピファニオス(Epiphanius of Salamis, 315頃–403年)
『全異端反駁書』(Panarion)
8. エルサレムのキュリロス(Cyril of Jerusalem, 313頃–386年)
9. アウグスティヌス(Augustinus, 354–430年頃)
『異端について』(De Haeresibus)
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