ヨハネ15:26-27
注解
26節
新共同訳「わたしが父のもとからあなたがたに遣わそうとしている弁護者、すなわち、父のもとから出る真理の霊が来るとき、その方がわたしについて証しをなさるはずである。」
Ὅταν ἔλθῃ ὁ Παράκλητος, ὃν ἐγὼ πέμψω ὑμῖν παρὰ τοῦ Πατρός, τὸ Πνεῦμα τῆς ἀληθείας, ὃ παρὰ τοῦ Πατρὸς ἐκπορεύεται, ἐκεῖνος μαρτυρήσει περὶ ἐμοῦ.
「弁護者」:「Παράκλητος」(パラクレートス)。「傍に」「呼ぶ」という語が組み合わさったもの。傍に呼ばれる存在、ということで、「弁護者」「助け主」「慰め主」などと訳される。ヨハネ福音書の文脈では聖霊を指す。父なる神からキリストを通して信徒に派遣され、信徒の神理解を深め、真理を人々に「証し」して悟らせる存在。
「父のもとから出る真理の霊」:「真理の霊」は、聖霊についての別の呼び方。この箇所以外の用例については下記の通り。
14:17「この方は、真理の霊である。世は、この霊を見ようとも知ろうともしないので、受け入れることができない。しかし、あなたがたはこの霊を知っている。この霊があなたがたと共におり、これからも、あなたがたの内にいるからである。」
16:13「しかし、その方、すなわち、真理の霊が来ると、あなたがたを導いて真理をことごとく悟らせる。その方は、自分から語るのではなく、聞いたことを語り、また、これから起こることをあなたがたに告げるからである。」
聖霊の父からの発出という教義ーフィリオクエ問題
「父のもとから出る」:聖霊の起源が父なる神にあることが強調され、ニカイア・コンスタンティノポリス信条においては、聖霊が父から発出することが明記された。
6世紀、スペインのトレド公会議において、従来の文言である「父から」(qui ex Patre)に加えて、「子からも」(Filioque)語が西方教会で付加され始め、9世紀のカール大帝時代にはこのバージョンが西方で広く使われるようになった。1054年における東西教会分裂(Great Schism)は、西方側のこの追加が一因となった。
「その方がわたしについて証をなさる」:証するの言語は、μαρτυρέωで、証言するの意。ヨハネ福音書の神学を象徴する用語の一つ。イエスの神性や使命を人々に証言するという意味で使用され、その語の主語は、洗礼者ヨハネ(1:7)、イエス自身(5:31-32)、聖霊(15:26)、弟子たち(15:27)があり、イエスの十字架や復活の目撃者もまた、証をする主体とされている(19:35)。
つまり、聖霊がイエスを人に証をすることで真理へと導かれ、聖霊の働きにより人はイエスを証する主体ともなる、ということである。
27節
新共同訳「あなたがたも、初めからわたしと一緒にいたのだから、証しをするのである。」
καὶ ὑμεῖς δὲ μαρτυρεῖτε, ὅτι ἀπ’ ἀρχῆς μετ’ ἐμοῦ ἐστε.
「あなたがたも……証しをする」:弟子たちもイエスの生涯と教えの目撃者であり、聖霊の働きによって、聖霊と共に証人とされていく。
「初めからわたしと一緒にいた」:弟子たちがイエスの公生涯の最初期から同行し、イエスの活動を体験してきたことを指す。彼らの経験、目撃体験は、「証」の真実性を裏打ちする。
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