2025年2月15日土曜日

【宗教学】デーモン(Demon)とサタン(Satan)の違い

 

ーーーーレジュメーーーー
【宗教学】デーモン(Demon)とサタン(Satan)の違い



1 用語の問題

・用語上、「悪魔」と呼ばれて、一緒くたにされて使われている場合も多いが…

  デーモンは、Demon  広く悪魔的、魔物的、悪霊的存在

  サタンは、   Satan   聖書に登場するサタン

       サタン=神に敵対(シャイターン)する元・天使とよくされる

 →サタンは旧約、新約聖書で言及 ーキリスト教概念

      旧約聖書に登場    ー旧約を共有するユダヤ教、イスラム概念



・これに伴い、その「学」の呼称、内容についても相違あり

  悪魔「学」  Demonology ー広く悪魔的、魔物的存在

  悪魔「論」  Satanology  

    ーキリスト教、ユダヤ教、イスラムにおける「サタン」

 *使い分けが意識されていないケースもあり。



2 悪魔(Demon)

・ざっくり、魔物、悪霊、霊的存在、神的存在もろもろ。



・ギリシャ語の「ダイモーン」(神的、霊的存在の意)に由来。

 必ずしも人間にとって悪の存在とは限らない。善の働きも。

 同様に、天狗も悪的な妖怪的存在である一方、中立的。



・初期キリスト教時代

 キリスト教が、ローマや欧州、東方の多様な多神教的世界観の魔物を取り込む。

 悪魔の意味合いが、悪的存在へと傾斜していく。

 =ラテン語におけるDaemonのニュアンス



・古代時代から中世時代にかけて

 聖書的な絶対悪としての存在であるサタンと、デーモンが融合していく。

 意味合いの変遷例:1 上級サタンの手下が、下級デーモン

      神学者により、悪魔界の序列という世界観形成が進む

       →悪魔に関する説を研究する学=狭義の「悪魔論」



3 サタン(悪魔、Satan)

・聖書(旧約聖書、新約聖書)で言及される「サタン」

 ヘブライ語で、神に敵対的な意味を持つ「シャイターン」が語源

 キリスト教、および旧約聖書を共有するユダヤ教、イスラムに必然的に限定。



・聖書におけるサタン、神学者などの論 =×悪魔「学」 ⚪︎悪魔「論」

 神学者の例:エイレナイオス、テルトゥリアヌス、オリゲネス、

       アウグスティヌスなど

・上述のように、サタンとデーモンの意味合いの用例的な融合が進む。

 サタンがデーモンであったり、デーモンが悪霊であったり…。



4 サタンと悪魔の性質上の違い

・悪魔は基本的には、魔物的で恐怖の存在となっていったが、絶対悪でもない

・サタンは基本、絶対悪。(上記の天狗のように例外的な伝承があるかも)

 神に敵対し、人間に誘いをかけ、神から引き離していく存在。絶対悪。

・魔物的な悪魔や悪霊は、人間に直接的(物理的・精神的)な危害を加える

 他方、サタンは人間を唆して神から引き離すため、原則、危害は加えない。


 ただし、後代の伝承過程で、デーモンとサタンが融合してくと、その限りでなし

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