はじめに
- 京都市左京区下鴨のカトリック女子大学
- 2025年4月、2026年度以降の学生募集の停止を発表
- 2025年度入学生の卒業をもって閉学の予定(2026年10月現在、在学生の教育は継続中)
- 本講では、修道女会の来日から大学の創立・発展・募集停止までをたどる
Ⅰ 創立 ― 4人のシスターの来日
1. 母体:ノートルダム教育修道女会(School Sisters of Notre Dame, SSND)
- 1833年、ドイツ・バイエルンで創立
- 創立者:テレジア・ゲルハルディンガー
- 使命:女子教育
- モットー:Virtus et Scientia(ヴィルトゥス・エト・シエンツィア)=「徳と知」
2. 戦争で10年遅れた来日
| 年 | できごと |
|---|---|
| 1937 | 日本へ招かれる |
| 戦時中 | 戦争により計画延期 |
| 1947 | 宣教師が日本の窮状をセントルイス管区に伝える |
| 1948 | 来日が実現 |
3. 4人のシスター、京都へ(1948年11月28日)
- 米国セントルイス管区から4人が来日
- 京都のカトリック教会の要請に応えたもの
- 占領下の日本 ― パスポートに加え軍の許可も必要
- 目的:戦争で途絶えたキリスト教教育の再建
4. 学校づくりの歩み
| 年 | 設立 | 所在地 |
|---|---|---|
| 1952 | 中学校 | 鹿ケ谷(ししがたに) |
| 1953 | 高等学校 | 鹿ケ谷 |
| 1954 | 小学校 | ― |
| 1961 | 女子大学 | 下鴨 |
5. ノートルダム女子大学の開学(1961年)
- 文学部英語英文学科の1学部1学科で出発
- キャンパスは下鴨(下鴨神社・府立植物園の近く)
- 建学の精神「徳と知」、カトリック精神による女性教育
Ⅱ 発展 ― 60余年の歩み
6. 人物:シスター・メアリー・ジョセフ・ツヅキ(1916〜2024)
- 京都生まれ、聖公会の家庭に育つ
- 13歳で同志社の教会で受洗 → のちカトリックに改宗
- 1949年、来日間もない修道会に入会
- 1961年の開学から1988年まで大学で音楽を担当
- 2024年10月、108歳で帰天
7. 改組の歩み
| 年 | できごと |
|---|---|
| 1961 | 文学部英語英文学科で開学 |
| 1963 | 生活文化学科を設置 |
| 1999 | 京都ノートルダム女子大学へ改称、人間文化学部を設置 |
| 2005 | 心理学部を開設 |
| 2007 | 生活福祉文化学部を開設(3学部体制) |
| 2017 | 国際言語文化学部・現代人間学部の2学部体制へ |
Ⅲ 閉学 ― 募集停止とその後
8. 入学者数の推移(入学定員330人)
| 年度 | 入学者数 | 定員比 |
|---|---|---|
| 2020 | 429人 | 約130% |
| 2021〜 | 定員割れが続く | ― |
| 2024 | 186人 | 約56% |
9. 最後まで続いた改革
- 2023年:社会情報課程を新設(2025年に社会情報学環へ改称)
- 2025年:女子キャリアデザイン学環を新設
- 2026年:国際言語文化学部を人文学部へ再編する計画(募集停止により実現せず)
- → 入学者の回復には至らず
10. 学生募集停止の発表
- 2025年4月22日:理事会で決定
- 2025年4月25日:記者会見で発表
- 理由:18歳人口の減少、続く定員割れ
- 新学部の準備が進む中での「急展開」との報道も
11. 背景:女子大学の縮小
- 私立女子大学の7割超が定員割れ(2024年度、週刊文春の報道)
- 女子大学数:1998年の98校から2023年までに25校減
- 同様の例:恵泉女学園大学、神戸海星女子学院大学(募集停止)、学習院女子大学(学習院大学に統合)、青山学院女子短期大学(2019年度から募集停止、2022年廃止)
- 背景:少子化、共学志向の高まり、法人の経営判断(傘下の中高のブランドを守るための判断との指摘も)
12. 中学・高校・小学校の移管
- 2026年1月21日:学校法人ヴィアトール学園(洛星中学・高校の設置者)と事業譲渡契約に調印
- 2026年4月1日:小学校・中学・高校がヴィアトール学園の設置校に
- 中高の新校名:洛星ノートルダム女学院中学高等学校(報道による)
13. 学生がつくった短編映画
- 作品:『わたしらしく、誇らしく』
- 制作:学生の大学広報研究会「MAGIE ESPOIR(マジ・エスポワール)」
- 2026年5月、大学公式YouTubeで公開
- 母校の記録と記憶を未来へ残す試み
Ⅳ 考察 ― 何が終わり、何が続くのか
- 戦後の宣教期に修道会が担った女子教育の使命は、ある意味で果たされたと見ることもできる
- 女子大学という形そのものの意味が問い直されている
- 修道会が担ってきた学校を他法人に委ねる流れ(日本のカトリック学校全体に見られる動き)
- 「徳と知」は中学・高校の教育理念として受け継がれる
まとめ
- 1948年、戦後の京都に4人のシスターが来日
- 1961年、英語英文学科1学科から開学
- 少子化の中、改革を重ねるも定員割れが続く
- 2025年に募集停止を発表、現在は在学生の教育を最後まで担う
- 「徳と知」― 60余年の女子教育の記憶
主な参考資料
- 大学基準協会「京都ノートルダム女子大学に対する大学評価(認証評価)結果」
- School Sisters of Notre Dame 公式サイト(来日史、シスター・ツヅキ追悼文)
- Sturdy Roots(SSND歴史サイト)"Asia"
- リセマム(洛星ノートルダム誕生、短編映画の記事)
- koubo.jp(短編映画公開の記事、2026年5月)
- 週刊文春、coki(女子大学の動向)
- 大学改革支援・学位授与機構 高等教育機関データベース(青山学院女子短期大学)
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