2026年10月25日日曜日

京都ノートルダム女子大学 創立の物語……からの閉学まで

 



はじめに

  • 京都市左京区下鴨のカトリック女子大学
  • 2025年4月、2026年度以降の学生募集の停止を発表
  • 2025年度入学生の卒業をもって閉学の予定(2026年10月現在、在学生の教育は継続中)
  • 本講では、修道女会の来日から大学の創立・発展・募集停止までをたどる

Ⅰ 創立 ― 4人のシスターの来日

1. 母体:ノートルダム教育修道女会(School Sisters of Notre Dame, SSND)

  • 1833年、ドイツ・バイエルンで創立
  • 創立者:テレジア・ゲルハルディンガー
  • 使命:女子教育
  • モットー:Virtus et Scientia(ヴィルトゥス・エト・シエンツィア)=「徳と知」

2. 戦争で10年遅れた来日

年できごと
1937日本へ招かれる
戦時中戦争により計画延期
1947宣教師が日本の窮状をセントルイス管区に伝える
1948来日が実現

3. 4人のシスター、京都へ(1948年11月28日)

  • 米国セントルイス管区から4人が来日
  • 京都のカトリック教会の要請に応えたもの
  • 占領下の日本 ― パスポートに加え軍の許可も必要
  • 目的:戦争で途絶えたキリスト教教育の再建

4. 学校づくりの歩み

年設立所在地
1952中学校鹿ケ谷(ししがたに)
1953高等学校鹿ケ谷
1954小学校―
1961女子大学下鴨

5. ノートルダム女子大学の開学(1961年)

  • 文学部英語英文学科の1学部1学科で出発
  • キャンパスは下鴨(下鴨神社・府立植物園の近く)
  • 建学の精神「徳と知」、カトリック精神による女性教育

Ⅱ 発展 ― 60余年の歩み

6. 人物:シスター・メアリー・ジョセフ・ツヅキ(1916〜2024)

  • 京都生まれ、聖公会の家庭に育つ
  • 13歳で同志社の教会で受洗 → のちカトリックに改宗
  • 1949年、来日間もない修道会に入会
  • 1961年の開学から1988年まで大学で音楽を担当
  • 2024年10月、108歳で帰天

7. 改組の歩み

年できごと
1961文学部英語英文学科で開学
1963生活文化学科を設置
1999京都ノートルダム女子大学へ改称、人間文化学部を設置
2005心理学部を開設
2007生活福祉文化学部を開設(3学部体制)
2017国際言語文化学部・現代人間学部の2学部体制へ

Ⅲ 閉学 ― 募集停止とその後

8. 入学者数の推移(入学定員330人)

年度入学者数定員比
2020429人約130%
2021〜定員割れが続く―
2024186人約56%

9. 最後まで続いた改革

  • 2023年:社会情報課程を新設(2025年に社会情報学環へ改称)
  • 2025年:女子キャリアデザイン学環を新設
  • 2026年:国際言語文化学部を人文学部へ再編する計画(募集停止により実現せず)
  • → 入学者の回復には至らず

10. 学生募集停止の発表

  • 2025年4月22日:理事会で決定
  • 2025年4月25日:記者会見で発表
  • 理由:18歳人口の減少、続く定員割れ
  • 新学部の準備が進む中での「急展開」との報道も

11. 背景:女子大学の縮小

  • 私立女子大学の7割超が定員割れ(2024年度、週刊文春の報道)
  • 女子大学数:1998年の98校から2023年までに25校減
  • 同様の例:恵泉女学園大学、神戸海星女子学院大学(募集停止)、学習院女子大学(学習院大学に統合)、青山学院女子短期大学(2019年度から募集停止、2022年廃止)
  • 背景:少子化、共学志向の高まり、法人の経営判断(傘下の中高のブランドを守るための判断との指摘も)

12. 中学・高校・小学校の移管

  • 2026年1月21日:学校法人ヴィアトール学園(洛星中学・高校の設置者)と事業譲渡契約に調印
  • 2026年4月1日:小学校・中学・高校がヴィアトール学園の設置校に
  • 中高の新校名:洛星ノートルダム女学院中学高等学校(報道による)

13. 学生がつくった短編映画

  • 作品:『わたしらしく、誇らしく』
  • 制作:学生の大学広報研究会「MAGIE ESPOIR(マジ・エスポワール)」
  • 2026年5月、大学公式YouTubeで公開
  • 母校の記録と記憶を未来へ残す試み

Ⅳ 考察 ― 何が終わり、何が続くのか

  1. 戦後の宣教期に修道会が担った女子教育の使命は、ある意味で果たされたと見ることもできる
  2. 女子大学という形そのものの意味が問い直されている
  3. 修道会が担ってきた学校を他法人に委ねる流れ(日本のカトリック学校全体に見られる動き)
  4. 「徳と知」は中学・高校の教育理念として受け継がれる

まとめ

  • 1948年、戦後の京都に4人のシスターが来日
  • 1961年、英語英文学科1学科から開学
  • 少子化の中、改革を重ねるも定員割れが続く
  • 2025年に募集停止を発表、現在は在学生の教育を最後まで担う
  • 「徳と知」― 60余年の女子教育の記憶

主な参考資料

  • 大学基準協会「京都ノートルダム女子大学に対する大学評価(認証評価)結果」
  • School Sisters of Notre Dame 公式サイト(来日史、シスター・ツヅキ追悼文)
  • Sturdy Roots(SSND歴史サイト)"Asia"
  • リセマム(洛星ノートルダム誕生、短編映画の記事)
  • koubo.jp(短編映画公開の記事、2026年5月)
  • 週刊文春、coki(女子大学の動向)
  • 大学改革支援・学位授与機構 高等教育機関データベース(青山学院女子短期大学)

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