【新宗教解説】真如苑の関連会社・関連団体(レジュメ)
■1.前提:数字の性格
・宗教法人には、株式会社のような財務諸表の公開義務がありません。そのため収入・資産の数字は、報道による推計か団体の自己申告値に限られます。
・収入推計は2010年前後の報道が最も詳しく、すでに15年以上前の数字です。
・本資料は、教団公式サイト、一如社公式サイト、法人登記情報、経済誌報道で確認できる情報に限っています。裏づけのない情報は第8節にまとめました。
■2.全体構造:三層モデル
第1層 宗教法人 真如苑
包括宗教法人(本部:立川市・真澄寺)。被包括宗教法人14(真澄寺を含む)。
第2層 株式会社 一如社
課税対象となる収益事業を集約(週刊ダイヤモンドの取材による)。国内4社・海外4法人のグループを持つ。
第3層 財団・NPO群
福祉・文化・教育・国際協力の分野ごとに法人形態を使い分けている。
■3.宗教法人 真如苑
・1936年立教、1953年宗教法人認証。醍醐寺の法流を汲む在家仏教教団です。
・苑主は伊藤真聰(開祖・伊藤真乗の三女)です。
・収入推計:週刊ダイヤモンド2010年11月13日号によると、2009年3月期で推定450億円です。
-同誌はほかに、基本財産17億3553万円、職員約1000人、施設数(国内99・海外39)を挙げています。
-ネット上の「455億円/2014年3月期」は、出典を確認できませんでした。
・よくある誤解:宗教法人は非課税ではありません。収益事業を営めば、軽減税率のもとで法人税が課されます。
■4.教団本体の資産
2002年 旧日産村山工場跡地 約106haを約739億円で取得(武蔵村山市・立川市)。2022年に「真如ヤーナ」と命名。
2008年 運慶作と伝わる大日如来坐像を約14億円で落札(クリスティーズNY)。現在は半蔵門ミュージアム(2018年開設)で公開。
2010年 真如苑と真澄寺が立飛ホールディングス株を計5.57%保有(3月時点の大量保有報告書)。開祖が立川飛行機の元社員だった縁とされます。
2015年 取得地のうち約3.8haを武蔵村山市へ無償譲渡。
・立川の主要施設の土地は立飛からの借地です。年間賃料は約22億円と報じられています。
■5.株式会社 一如社
・基本情報:1962年3月13日創立(伊藤真乗夫妻が設立)。本社は立川市富士見町、資本金3200万円、代表取締役社長は阪下忠浩氏です。
・従業員数は集計範囲によって数字が異なります。
-公式サイトでは約774名です(グループ・海外法人を含むとみられます)。
-社会保険データからの推計では約485名です。
-2010年時点の資料では767名です。
[事業区分]
コンシューマー事業
法具・書籍の頒布、オンラインショップ、精舎内のカフェ・食堂・売店、旅行企画、木更津霊園・Shinnyoどうぶつ霊園、葬祭・法事。
クライアント事業
教団施設の設計監理・施工管理・保守修繕、不動産業務(東京都知事免許の宅建業者)、中央監視室・研修所の管理。
メディア事業
映像制作、写真撮影、記録の保存管理。
[グループ会社・国内]
・多摩農林:「青梅の杜」の森林施業を受託。2008年に東京都初のFSC認証。
・あすの:2013年8月設立。
・CSIジャーナル社:2018年9月設立。
・ベルポルト:2024年7月設立。
[グループ会社・海外]
・ICHINYOSHA INT'L EUROPE:フランス(「ヨーロッパS.A.S.」表記は不正確)。
・ICHINYOSHA INT'L U.S.A.:アメリカ本土。
・ICHINYOSHA HAWAII:寺院保守、灯籠流しの協力、ミリラニ墓地での葬送業務。
・一如社亜細亜股?有限公司:台湾。
■6.財団・NPO群(公式「関連団体・主な団体」ページより)
[①福祉・文化芸術]
・公益財団法人ユニベール財団(1990年設立)
国際的視野に立った高齢者福祉。研究助成・市民活動助成・ボランティア育成。
・清里フォトアートミュージアム(K・MoPA)
山梨県北杜市。開祖が写真技術者だったことに由来。公募展「ヤング・ポートフォリオ」。
・Ciel des Jeunes
フランス。教育・文化活動を通じた青少年育成(団体名の頭字語が「空」になる)。
[②教育・研究]
・公益財団法人伊藤国際教育交流財団(1991年設立、2010年に公益財団化)
留学生奨学金。2014年までに来日226名(37カ国)、派遣177名。
・一般社団法人真如育英会(2006年設立)
開祖生誕100年を機に設立。国内外の学生への奨学金・職業訓練。
・Shinnyo-En Lanka Free Nursery School(1987年開園)
スリランカ。卒園生は約6000人。
・宗教情報センター(1994年設立)
立川市の宗教研究機関。宗教記事データベースをRIRCへ提供。
[③国際・地域貢献]
・Shinnyo-en Foundation(1995年設立とされる)
米国。青少年の倫理教育プログラムへの助成。
・N? Lei Aloha Foundation(2004年設立)
ハワイ灯籠流し(メモリアルデー)の運営主体。
・IZUMI Foundation(1998年設立)
ボストン。途上国の感染症・眼病対策。30カ国超・300件以上。
・ITO SUPPORTING COMITY(ISC)
子ども・女性の支援。ラオス、パナマ、スペイン、北マケドニアなど。
・その他:SeRV(災害救援)、Shinjoプロジェクト(多摩地区の市民活動助成)があります。
・NPO法人ベルデは、関連団体というより独立した「協働団体」です。森林施業そのものは多摩農林が受託しています。
[結節点となる人物:伊藤真玲]
開祖の四女で、苑主の実妹です。IZUMI Foundation代表、ISC理事長、伊藤国際教育交流財団の最高顧問を務めています。
■7.構造的特徴
(1)本体は宗教活動に限定し、収益事業を一如社に集約しています。これは「非課税だから」ではなく、事業を切り分けた結果の構造です。
(2)出版・不動産・飲食・映像・霊園などを外郭法人化し、本体会計から切り離しています。
(3)複数の法人形態を目的別に使い分け、国内外に分散配置しています。
(4)収益事業と社会貢献はおおむね分離しています。ただし霊園など、信徒向けサービスと収益事業を兼ねる領域もあり、完全な分離ではありません。
■8.確認できなかったこと
・「公益財団法人ユニーク児童」は実在を確認できませんでした。内容がユニベール財団と重複しています。「代表・伊藤藤敬(苑主の夫)」という記述も未確認です。
・「伊藤真命」は誤記で、正しくは伊藤真玲です。
・CSIジャーナル社の事業内容(「情報収集・データ入力」とする記述)は、一次資料が見つからず保留としました。
■9.結論と出典
・三層構造そのものは大規模な宗教法人では珍しくありません。ただ、その規模と国際的な広がりにおいて、真如苑は目を引く存在です。
・出典:真如苑公式サイト、株式会社一如社公式サイト、法人番号に基づく登記情報、『週刊ダイヤモンド』2010年11月13日号
・参考:『週刊東洋経済』2018年「宗教 カネと権力」特集(より新しい財務推計として)
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