第2パウロ書簡(Deutero-Pauline Epistles)
1. 第2パウロ書簡の定義
第2パウロ書簡とは、パウロ自身が執筆したと判断されている、いわゆる「真正パウロ書簡」とは異なり、パウロの弟子や後継者、あるいはパウロ系の共同体が、パウロの思想を継承しつつ、パウロ書簡を模倣する形で執筆した書簡群を指す学術用語である。
一般的には、以下の6書が第2パウロ書簡とされる。
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エフェソの信徒への手紙
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コロサイの信徒への手紙
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テサロニケの信徒への手紙二
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テモテへの手紙一
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テモテへの手紙二
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テトスへの手紙
2. 第2パウロ書簡の特徴
1. 語彙や文体、内容の相違
第1テサロニケ書やロマ書といったパウロ真正書簡の語彙、文体、内容と似てはいるが、異なる点が複数指摘される。
2. パウロ以降の教会の教義や教会構造の反映
教義内容や教会構造が、パウロの時代よりも後代のものであることが観察される。またその内容は、個々の教会の特別な事情に絡むものよりも、より一般化された内容に慣らされている。
3. 神学的特徴
内容の神学的特徴としては、発展した教会論、再臨遅延に対する対応(2テサロニケなど)、宇宙論的な救済論(エフェソ、コロサイ)、パウロ的な義認論、ユダヤ人の救済論の後退が
3. 成立時期
第2パウロ書簡はパウロ書簡を元に執筆されるので、パウロ書簡成立以降の成立も考えられるが、通常はパウロの死後からしばらく、早くて60年代後半以降、遅くて牧会書簡(1テモテ、2テモテ、テトス)の成立時期と推定される1世紀末とされる。
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