第二パウロ書簡(擬似パウロ書簡)
第二パウロ書簡(Deutero-Pauline Epistles)とは、書簡の送り手として使徒パウロの名が記されているものの、語彙、文体、神学思想、教会制度、歴史的状況などの検討から、パウロ自身ではなく、パウロの弟子やその伝統を継承する後代の人物によって執筆された可能性があると考えられている書簡を指す。ただし、各書簡の真正性については研究者の間でも見解が分かれており、第二パウロ書簡に含める範囲も必ずしも一定していない。
一般に、真正性が問題とされるパウロ書簡として、次の六書が挙げられる。
* 『エフェソの信徒への手紙』
* 『コロサイの信徒への手紙』
* 『テサロニケの信徒への手紙二』
* 『テモテへの手紙一』
* 『テモテへの手紙二』
* 『テトスへの手紙』
このうち、『テモテへの手紙一』『テモテへの手紙二』『テトスへの手紙』の三書は、その内容が教会の指導者や共同体の秩序についての教示を中心としていることから、伝統的に「牧会書簡(Pastoral Epistles)」と総称されている。
現代の批判的研究では、牧会書簡三書についてパウロ自身による執筆ではないとする見解が有力である。その場合、これらも広い意味で第二パウロ書簡に含めることができる。ただし研究上は、エフェソ書・コロサイ書・第二テサロニケ書を「第二パウロ書簡」、テモテ一・二およびテトス書を「牧会書簡」として区別して扱う場合も多い。
したがって、第二パウロ書簡という名称は単純に「パウロが書かなかった六書」を意味するのではなく、**パウロの権威と思想的遺産が、パウロ以後の世代においてどのように継承・解釈・発展させられたのかを検討するための研究上のカテゴリー**として理解することが重要である。
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