『レビ記』緒論
内容・構成
・ モーセ五書(創世記、出エジプト記、レビ記、民数記、申命記)の第三番目の書。
・ 出エジプト記の最後は、荒れ野に建造された幕屋の完成をもって終わる(参照、出エジプト40:34-38)。これに続くレビ記は、その幕屋で為されるべき祭儀(礼拝)の諸規定について綴る。
・ 本書には「聖」という語が120回使用されている。本来は神に近づき得ない、聖なる神に捧げられるに相応しい、聖なる礼拝について語るところに、本書の意図がある。礼拝の場所となる幕屋については出エジプト記に記されているため、レビ記では祭儀を執行する祭司、そして実際の祭儀規定について記す。
概要
1-7章 各種捧げ物に関する諸規定
8-9章 アロンの子らの祭司任職
10章 祭司ナダブとアビフの違反と死(物語的叙述)
11-15章 清浄規定
16章 至聖所での大贖罪日に関する諸規定(物語的叙述)
17-26章 「神聖法集」
27章 「神聖法集」の補遺:捧げ物に関して
資料
一般的な学説では、祭司資料(P資料)が大部を占めるとされる。レビ記の中には、一つの独立した資料である「神聖法集」が収録されていると言われる(17-26章)。
・ 創世記からレビ記へと至る流れが大切:天地創造 →族長物語 →出エジプトの出来事 →荒れ野での放浪 →荒れ野での幕屋建設命令 →幕屋での礼拝諸規定
・ 旧約から新約へ:不完全な罪の赦しのための犠牲、そして祭司:民の罪の赦しのための祭儀は、反復的、継続的に行わなければならなかった。さらに、祭司もまた自分の罪の赦しのための供え物を必要としていた。罪の赦しのための完全な犠牲の捧げもの、そして永遠の大祭司なるイエス・キリストを指し示す。この観点に基づいた新約の書が『ヘブライ人への手紙』(参照、9章)。
・ モーセ五書(創世記、出エジプト記、レビ記、民数記、申命記)の第四番目の書。
・ ヘブライ語聖書では、冒頭の言葉「そして彼(主)は言った(モーセに)」を書名としているが、タルムード(ユダヤ教に伝わる、6部63編から成る文書群。神がモーセに与えた口伝律法を集めたものとされる。)においては、1章と26章において行われている人口調査に因んで、「数の書」と呼ばれ、また七十人訳聖書(紀元前3世紀中葉から紀元前1世紀にかけて、ディアスポラのユダヤ人のために翻訳されたギリシャ語聖書。プトレマイオス2世のもと、72人の訳者が72日間かけてモーセ五書の翻訳を行ったところ、すべての訳者による翻訳が一致したという伝説から、「七十人訳」と呼ばれる。)では、「アリスモイ」(数)と呼ばれることから、日本語では「民数記」とされた。
内容・構成
・ 出エジプト記の続きであり、イスラエルの民のシナイにおける最後の滞在の20日間と、その後の荒れ野での放浪の40年間、そしてヨルダン川東岸占領に至る数ヶ月間を物語る。出エジプト記とレビ記は脱出後の1年間を叙述することから言えば、民数記は荒れ野での民を語り継げる書と言える。
・ 荒れ野での民の不信、神への反逆、モーセへの批判・叱責に表される民の堕落した姿を幾度も描く。その一方、反逆の民に対する神の忍耐深い導きを告げることで、読者に堕落への警戒と、神の忍耐を軽んじることなくその慈愛に慰めを得るよう勧告する。
シナイ滞在の最後 1:1-10:10
1-4章 人口調査
5-7章 種々の律法規定
8:1-10:10 祭儀規定
荒れ野での放浪 10:1-22:1
10:1-12:16 民の不満、モーセの苦しみ、70人の長老任命
13-14章 カナン偵察、民の泣き言
15章 種々の規定
16-17章 コラ、ダタン、アビラムの反逆
18-19章 祭司、レビ人に関する諸規定
20:1-22:1 メリバ(争い)の水の出来事、アロンの死、青銅の蛇
モアブ平野(エリコに近いヨルダン川対岸) 22:2-36:13
22:2-24:25 バラクとバラムの物語
25-31章 種々の規定、第二回目の人口調査
32-36章 種々の規定、部族と地名に関するエピソードなど、雑録
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