カルケドン公会議 Concilium of Chalcedon, 451 CE
要約
第二エフェソス(強盗)会議で承認された単性論的神学を却下し、キリストの人性と神性の両性を確立した。キリストの人性と神性は非分離・非混合、一つの位格が両性で存立。第2エフェソス公会議の際にレオ1世がフラウィアヌスに送ったレオ教書を基に起草。
本文
第2エフェソス(強盗)会議を援助した東ローマ皇帝テオドシウス2世の死後、ローマ教皇に比較的好意的なマルキアスが皇帝となったことで、小アジアのカルケドンにおける第4公会議、すなわちカルケドン公会議が計画、召集された。先の第二エフェソス(強盗)会議において承認された単性論的神学(ネストリウス派に対する反動としてのエウテュケスによるキリスト単性説)を否定し、キリストの人性と神性という両性の確立した。キリストの人性は神性と分離することなく、混合することなく、一つの位格が両性において存立する。
議長は、フラウィアヌスの後継であるコンスタンティノポリス司教アナトリオス。第2エフェソス公会議の際にレオ1世がフラウィアヌスに送ったキリスト論的教理的論考(レオ教書)を基に、カルケドン信条が起草された。
カルケドン信条(ギリシャ語原文の日本語訳)
カルケドン総会議において採択された信仰定式(Definitio)。二性一人格を強調し、それまでのキリスト論論争に終止符を打つ。その信条の特徴は、真の神にして真の人(vere deus,vere homo)に集約される。「神性よれば父と同質(ホモウーシス)、人性によれば我らと同じく同質。」
この会議の目的は、エウテュケス(キリスト単性論の主唱者、キリストの人生が人間と同質であることを否定し、受肉前は二性であったが、受肉後は神性と人性の区別が無くなったと主張)主義と、ネストリウス主義(アンテオケ学派に共通するキリスト論に基づいて、キリストの神性を否定)の両異端の排撃にあった。
原文翻訳
われわれはみな、教父たちに従って、心を一つにして、次のように考え、宣言する。
われわれの主イエス・キリストは唯一・同一の子である。同じかたが神性において完全であり、この同じかたが人間性においても完全である。
同じかたが真の神であり、同時に理性的霊魂と肉体とからなる真の人間である。
同じかたが神性において父と同一本質のものであるとともに、人間性においてわれわれと同一本質のものである。「罪のほかはすべてにおいてわれわれと同じである」
神性においては、この世の前に父から生まれたが、この同じかたが、人間性においては終わりの時代に、われわれのため、われわれの救いのために、神の母[2]、処女マリアから生まれた。
彼は、唯一・同一のキリスト、主、ひとり子として、
二つの本性において混ぜ合わされることなく、変化することなく、分割されることなく、引き離されることなく知られるかたである。
子の結合によって二つの本性の差異が取り去られるのではなく、むしろ各々の本性の特質は保持され、
唯一の位格、唯一の自立存在に共存している。
彼は二つの位格に分けられたり、分割されたりはせず、
唯一・同一のひとり子、神、ことば、イエス・キリストである。
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