シモニア(聖職売買) 英:Simony、ラテン:Simonia
要約
シモニア(聖職売買)
金銭などの対価をもって、聖職者の位階、秘蹟、教会統治権、人事における聖職者の推薦等、神性な事柄を故意に取引すること。「聖職」には限定されない。世俗権力や金銭による教会の支配権のコントロールに繋がるとして、古代教会時代から対策が取られていった。「シモニア」の語源は魔術師シモン(シモン・マグス)の名に由来(使徒行伝8:18-24)。
本文
金銭など対価をもって、聖職者の位階、秘蹟、教会統治権、人事における聖職者の推薦等、神性な事柄を故意に取引すること。「聖職」には限定されない。世俗権力が教会の支配権をコントロールしようとして、上記の事柄が金銭によって交換されるようになれば、教会内に世俗権力が及ぶことになる。また、宗教的規律が求められるところで金銭授受が行われれば、宗教的腐敗が進むことから、古代教会時代から対策が取られていったものの、恐らく献金と賄賂の判別がし難いのと同じ理由で、取り締まりはさして効果なくイタチごっこの様相を呈した。
また、私有教会制により、国王が支配下の教会の聖職者を任命する仕組みになっていたために、裏で対価のやり取りが為されても露見しにくいという問題性もあった。
語源
「シモニア」という呼称は、聖霊の力を得るため使徒ヨハネやパウロへ金銭の供与を申し出た人物である魔術師シモン(シモン・マグス)の名に由来する(使徒行伝8:18-24)。
歴史
キリスト教会に富と権力が集中するようになる古代時代から中世時代にかけてより、シモニアは見られ始める。
306年、エルビラ教会会議において、洗礼執行に関しての売買禁止。
451年、カルケドン公会議において、霊的祝福の売買禁止。
教皇グレゴリウス1世(在位:590-604年)、シモニアに関わった聖職者の破門を慣行。
787年、第2ニカイア公会議において、シモンの名が挙げられて、神聖事の売買禁止を確認。
ヴォルムスのブルクハルト、自身が集成した教会法においてシモニアを冒涜と見なす。また、シモニアによって得られた聖職者によるサクラメントは無効と主張されたが、ペトルス・ダミアニは行われたサクラメントの事実性は有効であると反論した(ex opera operatoの優位)。
1059年より、枢機卿内での選挙により教皇が選出されるコンクラーヴェが定められ、人事権をシモニアから守る措置となった。
教皇グレゴリウス7世(在位1073-1085年)、俗人の聖職叙任を禁止。「グレゴリウス改革」の一環として。
16世紀に発布された「贖宥」もまたシモニアであると、宗教界改革者(ウィクリフ、フス、ルター等)によって批判された。
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