キリスト教学B 3
担当:大石健一
オリエンテーション
成績評価
平常リポート 60 %
その他 40 % 授業後にルナにて提出するコメントや質問を評価対象とする。
授業中の私語は、指摘した時点で100点満点中の5点を失う。
(体調とは関係ない)居眠り、退席、スマートフォンでのゲームは、1点を失う。
授業計画
第1回 オリエンテーション、キリスト教前史
第2回 キリスト教の歩み(1):古代、中世
第3回 キリスト教の歩み(2):宗教改革期
第4回 キリスト教の歩み(3):近現代
第5回 キリスト教の死生観
第6回 キリスト教における愛
第7回 キリスト教歴史トピック:イスカリオテのユダの真実
第8回 キリスト教歴史トピック:十字軍
第9回 キリスト教歴史トピック:魔女狩り
第10回 日本人とキリスト教
第11回 文学とキリスト教
第12回 クリスマスの起源と展開
第13回 クリスマスと絵画
第14回 クリスマスと映画
キリスト教前史
序
・キリスト教は、ユダヤ教(=ユダヤ民族、民族宗教)から派生した。
イエスはキリスト教を創立しようとしたのではない。
ユダヤ人(=ユダヤ教)の神信仰の刷新(改革運動)を試みた。
・イエスの十字架死(と復活)後、弟子たちはイエスをメシアとする運動を展開。
→ユダヤ人側、ユダヤ教内の異端的一派を取り締まる(迫害)
→やがて排斥運動から追放処分へ。最終的に、完全分離。キリスト教の成立。
・キリスト教における聖書 旧約聖書と新約聖書の2部構成
旧約聖書 キリスト以前 =ユダヤ教の正典
新約聖書 キリスト以降 =キリスト教会が作成した文書群
(ちなみに、イエスは書を残していない。弟子たち、信徒たちがした)
だから、ユダヤ教徒にその正典を「それ、旧約聖書だね」と言ったら失礼。
・キリスト教は、旧約時代の歴史を「前史」と理解する。
→自らを旧約時代の正統後継者と自己理解する
他方、ユダヤ教も旧約時代の正統歴史と自己理解する
・結論:キリスト教「前史」とは、旧約時代を一般的に指す。
但し、キリスト出現直前の時代を指す場合もある。
1.キリスト教前史
1.1.・天地創造(『創世記』)からアブラハム以前まで
アダムとエバ 禁断の果実、堕罪、カインとアベルの兄弟殺人
ノアの方舟 大洪水
バベルの塔 人類の野望と挫折。言語、コミュの混乱。
1.2.族長時代
アブラハム ユダヤ民族の父祖、始祖。偉大な人。時々、人間臭い。
神との約束、契約 →(旧い)契約→旧約
イサク アブラハムの子。真面目で優秀。
ヤコブ イサクの子。ずる賢い。
ヨセフ 予知能力、優秀。でも天然。悪気はないけど……
十二人の子供→十二部族 神から「イスラエル」(神と争う)と命名される。
*ユダヤ民族は十二の部族で構成されていた。以上はその先史の物語。
1.3.モーセ
エジプトで酷使されていたイスラエル民族(=後のユダヤ人)
彼らを引き連れ、脱出。約束の地カナンへ導く。
カナン:地中海とヨルダン川に挟まれたエリア。パレスチナに相当。
約束の地の目前で死去。後継者はヨシュア。
1.4.ダビデ王朝から南北王国時代(在位;前1000-960年頃)
初代王はサウル、ダビデは2代目。
子であり後継者であったソロモン王時代、国家は南北に分裂。
→「北イスラエル王国」 後述のユダ族とベニヤミン族以外の10部族
アッシリアにより、ホシェアを最後に前722年頃に滅亡。
アッシリアの植民政策、異民族同士の婚姻政策により、民族的純血を喪失。
以後、後述の南ユダ王国の末裔であるユダヤ人から、サマリア人として蔑視される
→「南ユダ王国」 名称はヤコブの子ユダ、またユダ部族に由来。
前587年、ゼデキヤ王時代に、バビロニア帝国により滅亡。
首都エルサレムの破壊と放逐。連行=「バビロン捕囚」
前539年、バビロニアがアケメネス朝ペルシャによって滅ぼされて解放。
その後、プトレマイオス朝エジプト、セレウコス朝シリアによる植民統治時代へ
1.5.ハスモン朝時代(前141-63年)
前166年 ユダ・マカベア、セレウコス朝シリアに対して決起。「マカベア戦争」
マカベアの兄弟シモンの子ヒュルカノスが大祭司職を継承した前134年、マカベア王朝(ハスモン王朝)成立。
1.6.イエス時代のユダヤ
前37年、ヘロデ大王支配のもと、実質的にローマの属国(植民地)とされる。
・ローマの属国支配に対する不満。
サドカイ派等、貴族層:現状維持を望む。利権確保。保守層。
ファリサイ派:宗教指導者層は、異教民族による支配を望まず。
・過激派・極左翼:「熱心党(ゼーロータイ)」保守層の政治家を暗殺。武装蜂起。
・政情不安。経済的貧困 → 閉塞状況、鬱積する不満
・「メシア待望」の高まり
神がかり的を力を授かった指導者が現れ、自民族を解放することへの過剰な期待。
・貧富の差の拡大。不条理。社会の歪み。
1.7.イエス運動
・「神の国は近づいた」「貧しい者たちは幸いである」
社会的弱者、一般民衆に対する、神の恵み。神の国到来の告知。
・病気の癒し、悪霊払いの奇跡。
・十字架刑死による、イエス運動の途絶。
・復活? 「イエスは復活した」との弟子たちによる宣教
・ペンテコステ(聖霊降臨)? 初期教会の成立。
・新約文書、随時、形成。教義の確定。今日のカトリック教会の原形ができあがる。
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