レジュメ
【キリスト教】「聖人の遺体をゲットだぜ!」ー聖遺物、聖遺物崇敬について
1 聖遺物とは
・聖人の遺体、もしくは遺体の一部(髪の毛、血液、部位)
聖人の遺物や触れたもの(衣服、所持品)
・これらを崇敬する行為や精神性
(キリスト教では神以外のものは崇拝しないので、崇敬)
・元々、使徒や聖人とされた者を崇敬する習慣あり。
2 聖遺物崇敬の発生からその後の展開
2-1 古代時代 聖遺物崇敬ブームの始まり
・4世紀頃、聖人の遺骨がコンスタンティノポリスに移転。
聖人の遺物や遺骨に注目が集まる。
・その後、聖遺物の捜索、発見、収集、巡礼が盛んになる。
・聖マルティヌス(サン・マルタン)の逝去時(397年)、
付近の住民が集まり、遺体の所有権で議論になる。
・パターンとして、奇跡を伴う発見エピソードを伴う。
中世時代には奇跡逸話集 「聖ジブリアン奇跡録」(12世紀)
・その後、聖遺物が安置された教会や修道院には、巡礼者
2-2 中世時代 聖遺物崇敬の半ば暴走状態
・聖遺物崇敬は西方教会では流行した一方、
東方ではむしろ聖画像が崇敬された。イコノクラスム期を除く
・調達や輸送斡旋のエキスパートの出現
例、9世紀、ローマと西欧を仲介したデウスドーナ
・聖人以外の遺物も現れる。
例 南イタリアのモンテガルガノ、大天使ミカエルの紅の外套
・数々の聖遺物の出現
・受胎告知時のマリアの服(ノートルダム大聖堂)
・受難時にキリストの汗を聖女ベロニカが拭い、後に顔が浮き
出た、「聖顔布」(スダリウム)。
教皇代理アデマール・デュ・ピュイによって発見。
・聖杯伝説 最後の晩餐時に使用され、十字架のキリストの
血を受けたとされる杯
・聖人級の偉人は、生前から体を狙われる
例 トマス・アクイナス 近隣はおろか遠隔地からも人が殺到
死後、厳重な管理体制下で分骨された
・中世中期にはブームが高じ、贋作や偽情報が横行
・真贋性の見極め、聖遺物の認証の問題、認証権限の所在
司教の権限→第4ラテラノ公会議(1215)以降、教皇のみの権限
・「移葬記」:聖遺物の真正を主張するために入手経路を記録書
2-3 その他の備考項目と、中世時代以降
・聖遺物は、聖遺物匣に納めて安置する
・聖遺物の売買禁止だが、どこまで遵守されたかは不明。
・全聖遺物の祝日は、11月5日。
・宗教改革以降のプロテスタントの多くは、聖遺物を認めず
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